「デザイン」と「アート」の動き続ける関係性

デザイン
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2024.12.9

YUI

こんにちは、デザイナーのYUIです。

株式会社オークンでデザイン全般のお仕事をしています。最近ではWeb系の仕事が多く、iOSアプリのデザインやコーポーレートサイトのWebデザインも手がけているのですが、絵画のようなアートのお仕事もさせていただいてます。

「デザイン」と「アート」、この二つは「対極的なもの」として語られることが多いのですが、実際はそんなに割り切れるものじゃないなと感じています。境界線は曖昧だし、むしろ重なり合う瞬間があったりして、そこから生まれる新しい価値が私たちの生活や社会に影響を与えていると感じます。

特に「美(美しさ)」という要素。これが、デザインとアートを結びつける重要な鍵だと思っています。ただ機能するだけじゃなく、心を動かして、感情に訴えかける力。それが「美しいデザイン」の持つ力だと感じています。

UI/UXデザインはできる人多いと思うのですが、それだけではない心を動かせる部分は「ひたすら良いものを見る」「別々のものの共通点を見い出す」「日常のものからいろんな角度でたくさんの情報を受け取る」などの力をつけていく必要だと思っています。


今回は、そんなデザインとアートの関係性について、私の経験を交えながらお話ししたいと思います。

1. デザインとアートが交わり始めた時代

デザインとアートが深く結びついた例として、19世紀末のアール・ヌーボー運動があります。

この時代の大きな変化として、自然界の曲線や植物のモチーフを取り入れることで、機能性と美しさを調和させたデザインが生まれました。これまでデザイン性が重視されていなかった広告、家具、建築、工芸品などの分野でも、装飾的な要素が重視されていたんです。

私がデザインの道に進むきっかけも、この時代の影響が大きいです。小さいときから祖父や母がテキスタイルや絵師の仕事をしていて、その背中を見て育ったこともありますし、アルフォンス・ミュシャの絵が感動的で心を奪われて憧れていたことが大学の専攻を決める理由になりました。


グラフィックビジュアルデザインを学びながら、誰にも真似できない「感性を刺激するクリエイター」になろうと決めました。

大学ではビジュアルデザインを構成する3つの要素「図像」「文字」「コミュニケーション」を軸にして学びました。

その後、社会人になり、パッケージデザインを扱うデザイン事務所で働き、今ではオークンでWEBデザインとグラフィックデザインの仕事をしています。

いろんな分野のデザインを経験する中で、アール・ヌーボーが築いた商業的なものにアートの要素を入れた基盤が、現代のUI/UXデザインにも繋がっています。

例えば、Webサイトやアプリのデザインでは、特にユーザーにとって「使いやすい」が重要になります。視覚的な見やすさがユーザーの体験そのものを左右するんですね。それと同時に感性が刺激される「美しさ」があるからこそ、ユーザーはそのデザインに惹かれたり、心地よさを感じたりすると思っています。

さらに、UI/UXデザインって一度完成したら終わりじゃないんですね。「動き続ける」ことが本質で、ユーザーの声を聞きながら、常に進化を続けることが求められています。
訪れたユーザーにとって初回の体験がすべてを決めますし、新しいサービスに触れる最初の瞬間って本当に大事です。「分かりやすい!」「使いやすい!」と思ってもらえないと、その後の利用には繋がらないんですよね。

本当に日々勉強です。

2. 街に溶け込むデザインとアート

デザインとアートの融合は、街の中にもたくさん見つかります。普段は気づかないかもしれませんが、駅や公園、歩道、公共施設など、私たちの生活を支えるデザインがたくさんあるんですね。このようなものを発見するたびに、できるだけ多くの情報を色々な角度から受け取るようにしています。


渋谷駅の案内サイン

たとえば渋谷駅の案内サイン。色分けやフォント、ピクトグラムの工夫が見事で、迷いやすい構造の駅でも直感的に分かりやすいですよね。デザインと機能のバランスが取れています。


麻布台ヒルズの都市と自然の融合

麻布台ヒルズの緑地や庭園も印象的です。坂の多い場所にも関わらず、都市と自然が調和していて、単なる装飾ではなく訪れる人の心を癒してくれる空間になっています。

蟻鱒鳶ル(ありますとんびる)

東京の港区三田にある「蟻鱒鳶ル」は、坂口恭平さんが手作業で20年間1つ1つ丁寧に作られて、専門家から「200年もつ」と言われているほどの頑丈さを持ちながらも、その造形の美しさが調和しています。ガウディのサクラダファミリアのように建築プロセス自体に芸術的な価値を持ち、見る人の感性を刺激する空間にもなっています。

出町柳と鴨川の風景デザイン

京都の出町柳や鴨川付近も、デザインとアートが融合してます。出町柳のデルタ(三角州)は、鴨川と高野川が合流する場所で、シンプルな石畳や飛び石が配置されています。あの飛び石は「鷺(さぎ)」や「亀」の形のデザインになっているんです。ぴょんぴょんと飛び跳ねてわたるのが楽しい場所です。

3. まとめ:美しさと機能が未来を作る

デザインとアートは、それぞれの役割を持ちながらも、交わることで新しい価値を生み出します。「美しさ」と「機能」が共鳴する瞬間には、大きな可能性が秘められているんですよね。

そして、デザインの未来を考える上で、「美しさ」がどのように人々の心を動かし、生活を豊かにしてくれるのかを探り続けることが大切だと思います。これからも、デザインとアートがどんな新しい可能性を生むのか、私もこの目でいろいろな場所を訪問しながら確かめていきたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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